心電図異常と病気
心電図で分かること・分からないこと
心電図検査から得られる情報は多いものの、
心臓のこと全てがわかるわけではありません。
心電図検査は、痛みや放射線被ばくがなく、時間的拘束も少なく実施することができます。そして「波形」を通して得られる情報量が多く、心臓を調べるためには必須の検査です。ですが、心電図検査のみでは、心臓の状態や病気のことが全てわかるわけではありません。そのため、心電図異常を指摘されたら、精密検査を受けることが大切です。
心電図は「心臓の電気信号」を記録している
心臓は電気信号で動いています。
この電気信号の様子を皮膚の上から記録するのが心電図検査です。
心臓のリズミカルな動きを司っているのは実は電気です。心臓は筋肉でできた臓器で、その筋肉にわずかな電気が流れて興奮し、それによって拍動が起こります。このような心臓の電気信号を見るのが心電図検査です。
心電図検査は、主に2種類の変化がないかを調べています。
1:脈の乱れ(不整脈)がないか
心電図の波のリズムが不規則になります。
種類は多数あります。
2:心臓の筋肉に異常がないか
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心臓の筋肉に酸素が十分に届かない状態
→心筋梗塞や狭心症ががあてはまります。 -
心臓の筋肉が厚くなる・心臓の各部屋の血液量が増えている状態
→高血圧、弁膜症、先天性疾患、心筋症などがあてはまります。
心電図は「心臓の形」を見ることはできない
心筋症や弁膜症などの心臓の形の異常は、心電図検査では分かりにくいです。しかし、心電図検査が早期発見のきっかけになることがあります。
弁膜疾患、先天性心疾患、心筋疾患など、心臓の形の異常によって病的状態をきたす心臓の病気のことを構造的心疾患(Structural Heart Disease : SHD)といいます。心電図検査では、心臓の形を直接見ることはできないため、構造的心疾患の診断・重症度の判定のためには、形を見ることが得意な「心臓エコー検査」や「冠動脈CT検査」などのいわゆる画像検査が重要です。
しかし、心電図検査は構造的心疾患の発見に無用というわけではありません。例えば心臓の弁に異常があった場合、弁がうまく機能しないことで心臓全体に負担がかかります。弁の異常によって不整脈が合併することも多く、心電図異常をきっかけに精密検査を行い、構造的心疾患が見つかることもあるのです。