心電図異常と病気

不整脈

不整脈病名ではありません
さまざまな病気を含んだ総称です。

不整脈の中には、いろいろな種類があります。突然死を招く怖い不整脈もあれば、安心して暮らせる不整脈もあるのです。不整脈という言葉は、さまざまな病気を含んだグループ名、つまり総称なのです。

症状から不整脈の重症度を判断してはいけない

不整脈はどんな症状がありますか?

動悸・脈がぬける・息切れが一般的な症状です。
ですが、自覚症状がないこともあり、症状だけで病気を判断するのは困難です。

不整脈による症状は、一般的には次のようなものが知られています。
ただし、人によって症状が強い場合もあれば、症状がまったくない場合もあります。ですから、症状で病気を判断したり、予測することは危険です。まして、自分の感じる症状から、不整脈の重症度を自己判断してはいけません。無症状だから安心ともいえない一方で、症状がひどいから重症の不整脈だとも決めつけられないのです。

不整脈による症状

  • 動悸がする。脈が速くなる。

  • 脈が抜ける。

  • 息切れがする。

  • 全身がだるい。

  • めまいがする。

  • 意識が遠のく。失神する。

  • 一瞬咳をしたくなる。

  • 胃や食道に異物が入ったような不快感がある。

など

約9割は怖くない不整脈

不整脈かもしれないと知り、不安です。

不整脈をむやみに不安がる必要はありません。
不整脈の種類を知ることが重要です。

手首に手を当ててみると、ドクドクとした振動を感じるはずです。不整脈とは、この脈が正常に打っていない状態のことを指します。不整脈には、放っておいていいものから、治療しなければいけないものまで、多くの病気が含まれています。むしろ、放っておいてよい、怖くない不整脈の方が多いのです。不整脈の約9割は、怖くない部類に入ります。健康診断などで不整脈の可能性があると指摘された場合は、精密検査を行い、どような不整脈なのか、まずはその種類を確認することが重要です。

不整脈の検査は、心電図検査

不整脈の種類や重症度を知るには?

さまざまな心電図検査を行います。

不整脈の種類や重症度を知るためには、心電図検査を行います。
一般的な健康診断で行う心電図検査は「十二誘導心電図検査」ですが、長時間の心電図の動きを記録する「ホルター心電図」や症状がある時の心電図を記録する「携帯型心電図」などを用いて調べていきます。
はじめは不整脈以外の心臓の病気の可能性も考え、心エコー検査などを行うこともあります。

注意すべき不整脈の一つに「心房細動」があります。

「心房細動」は危険な不整脈なのでしょうか。

「心房細動」はただちに命に係わることは稀ですが、病院に受診すべき不整脈です。

心房細動は命に悪影響を及ぼすことがあり、しかも人口の1~2%と決して少なくない人がもっているわりに、あまり知られていません。心房細動をもつ人は加齢とともに増え、80代の人の1割には見つかると言われています。

心房細動とは、心臓の中の血液を貯める部分である「心房」が、電気的な異常により細かく震えてしまっている状態のことを指します。その結果、ポンプである心室は動いているのですが、脈がまったく不規則になってしまいます。息切れや胸の不快感などを感じる人もいますが、約半数の方は症状を感じません。

しかし治療せずに放置していると、心房細動の時間と頻度が増していき、10年ほど経ってしまうと、約半数は慢性的に心房細動の状態でいることになります。

心房細動を放っておくと、脳梗塞を起こす確率が5倍心不全になる確率が4倍になることが分かっています。

心房細動が脳梗塞に繋がるのは、心臓の中で血液がよどむことで血の塊である血栓ができ、それが脳に飛んで血管を詰まらせるためです。心房細動が見つかったら、その治療と並行して脳梗塞の予防もしなければいけません。

また、心房細動により脈が乱れると血液を押し出す力が低下し、心不全を引き起こすことがります。すると息切れやむくみなどの症状が現れます。

心房細動を放置して脳梗塞や心不全になると、命に係る場合もあります。

高血圧や糖尿病があると、心房細動にかかりやすくなります。

心房細動も他の心臓病と同じように、高血圧や燈明病があるとかかりやすくなります。

したがって生活習慣病をコントロールすることで、心房細動のリスクもかなり低くなると考えられます。

命を落とす危険性が高い「心室細動」

「心房細動」は危険な不整脈なのでしょうか。

「心室細動」は発生から10分程で、ほとんどの方が死亡する危険な不整脈です。

心臓には、全身に血液を送り出す役割を担っている「心室」と呼ばれる部分があります。いわばポンプです。この心室に異常が起こり、速く連続的な電気興奮を発してしまうことがあります。これが「心室細動」です。

心室細動を起こすと、心室がポンプとしての役割を果たせなくなり、血液を送り出せなくなります。(わずかに血液を送り出せている状態を「心室頻拍」と呼びますが、やがては心室細動に移行しやすいと考えられています。)
これは致命的な事態であり、ただちに命に係ります。発生から時間が経つごとに生存率はどんどん低下し、10分が経過するとほとんどの方が亡くなります。

日本では毎年、成人1万人あたり3~4人が突然死をしていますが、そのおよそ半数は心室細動によって亡くなっていると考えられています。その数は、年間およそ2万人にものぼります。

心室細動から救うためのAED

心室細動から命を救うのが、近年、あちこちに置かれるようになったAED(自動体外式除細動器)です。AEDは電気ショックにより心臓を正常化することができます。

心室細動は時間との勝負であり、救急車の到着を待つ余裕はありません。

AEDによる電気ショックの成功率は、心室細動を起こした直後(1分以内)はかなり高いのですが、1分経過するごとに7~10%も低下します。したがって、倒れた人の周囲にいる人々がAEDを使うことが生死を分けます。

AEDはこのような状況を見越し、誰でも安全に使えるように作られています。電気ショックを与える必要がない人に対して不要に作動することはありません。恐れずに使ってください。

心臓血管研究所付属病院 AEDのロゴ

誰にでもある「期外収縮」

治療の必要がない不整脈とは?

「期外収縮」は、基本的に治療の必要はありません。
最も多い不整脈です。

健康な成人の98.7%に期外収縮が見つかったという研究もあるほど、ありふれた不整脈です。主な原因は加齢ですが、心身のストレスや睡眠不足、カフェインやアルコールなどによっても悪化します。

多くの人は、自分の心臓で期外収縮が起こっているということには気づきません。気付いても、一瞬だけ脈が抜けるとか、一瞬胸がつかえる感じがするとかその程度です。

 

期外収縮は無害ですから、基本的に治療の必要はありません。しかし、一度、期外収縮に気付いてしまうと、不安にとらわれてしまう人も少なくありません。多くの方は、医師から「心配いりません」と聞くと安心して不安から抜け出すことができますから、検査を受けることが安心するための最短コースと言えるでしょう。

心臓血管研究所付属病院